次期学習指導要領のねらい2 教科を横断する

以前このブログで、新しい学習指導要領の全体的なねらいについて記事を書きました。

 

今回は、次期指導要領の中の、「教科を横断する」という課題について考えてみたいと思います。

 

「教科を横断する」という提案は

『幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)』

の、「2.「生きる力」の育成に向けた教育課程の課題」「(1)教科等を学ぶ意義の明確化と、教科等横断的な教育課程の検討・ 改善に向けた課題」の中に書いてあるものです。

 教科を横断するという課題は、国語科こそが、一教科として、教科横断の役割を積極的に果たせると考えます。今回は「国語科が教科を横断する」ことについて書いてみたいと思います。

 

国語を勉強すること自体が横断的

 

日本では、驚くべきことに(!)ほぼすべての教科が日本語を使って行われていて、学年が上がるに連れて、その日本語は難解なものになっていきます。もちろん日本語で生活する年数が増えれば増えるだけ、日本語の経験値も増えていく可能性があります。しかし、これは日本語で日常生活を送っていれば自然に言語のレベルアップが図れる、というものではありません。皆さんの中には習慣化した単純な毎日の限られた語彙やシチュエーションに囲まれていたら「話す」「読む」「考える」能力が急速に衰えた、という経験をした方もいるのではないでしょうか。私自身も中学高校時代は、「日本人なんだから国語なんて意味ない」と考えて、ほとんど勉強していませんでしたが、それでも国語の授業で色々な文章に触れることによって言語は構築され、他の教科の難解な問題も理解できたのだと思います。日本語に囲まれて生活しているがゆえに、国語という教科の功績は、生徒はもちろん、もしかすると教師さえも認識していないかもしれません。言語的に新しい環境が言語をレベルアップさせるのには必要なのです。

国語は、強制的に選ばれた様々な文章を扱うことによって、難易度が増していく他の教科の内容にもついていけるという、横断的な役割を既に果たしていると考えます。

 

国語で教科を横断する

 

 逆に考えると、他の教科で様々な新しいテーマについて日本語で取り組むこともまた言語構築に役立っていると言えます。他の教科の活動もまた言語能力の向上に寄与しているとすれば、国語科の役割とは何でしょうか。

日本語を通して感性や表現力を育成することはもちろん国語科の役割ですが、それ以外では、「まとまった文章を読み込んでいく」という行為が他教科にはできないことだと思います。他教科のテーマのまとまった文章を取り上げ、言葉による学習活動によって授業を展開することで「教科を横断する国語」として成り立つと思います。

他教科で学習していることを外へ持ち出し、国語の授業で考えたことを還元する。世の中の関係がないようなことも実は全て繋がっているのだという実感も生まれる。繋がりが感じられれば学習意欲も湧いてくる。

その単元が独立したものではなく他の物事と関連性があると認識できれば、広い視野も身につくし、学びにも積極的になれます。他の教科の進度を確認してそれに関連した最新の論文やニュース記事などを選ぶといいと思いますが、教科書に載っている文章から派生させてこちらからテーマを提供することでも実現できると思います。

これからの社会を生き抜くために対応すべき諸課題として、前掲の『幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)』内で挙げられているテーマは以下の通りです。

・健康・安全・食に関する力

・主権者として求められる力

・新たな価値を生み出す豊かな創造性

グローバル化の中で多様性を尊重するとともに、現在まで受け継がれてきた我が国固有の領土や歴史について理解し、伝統や文化を尊重しつつ、多様な他者と協働しながら目標に向かって挑戦する力

・地域や社会における産業の役割を理解し地域創生等に生かす力

・自然環境や資源の有限性等の中で持続可能な社会をつくる力

・豊かなスポーツライフを実現する力

 また、国際社会全体の開発目標として国連サミットで採択されたものも挙げられています。

2015年9月の国連サミットにおいて全会一致で採択された先進国を含む国際社会全体の開発目標であり、2030年を期限とする包括的な目標として設定されたもの。具体的には以下の17の目標が設定されている。

1貧困、2飢餓、3保健、4教育、5ジェンダー、6水・衛生、7エネルギー、8成長・雇用、 9イノベーション、10不平等、11都市、12生産・消費、13気候変動、14海洋資源、15陸上資源、 16平和、17実施手段

 

現行の指導要領から掲げられている「生きる力」を身につけるためには、目の前にある事象をどう捉え、それを自分の中に構築した知識(または物事を考えるための自分だけのルート)を通過させて、自分の意見を持ち、それをまた自身の中に蓄積させることを繰り返すという経験を積み重ねることが必要です。他の教科とのバランスを鑑みると、この経験は国語科が積極的に担うべきものではないかと思います。教科を横断したテーマにじっくりと向き合う経験を通して、新たに直面する課題にも進んで取り組んでいける子どもたちを育てたいところです。

中学校国語科 授業を変える課題提示と発問の工夫39

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