多様な学びへ

今年もセンター試験が終わりましたね。受験生の皆さんが自分の力を十分に発揮できたことを願っています。

 

今日は、教育再生実行会議の第十一次提言・中間報告について考えてみたいと思います。

こちらは中間報告(案)の資料です↓

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/dai44/siryou1-2.pdf

 

そしてこちらはニュース記事です。

headlines.yahoo.co.jp

www.nikkei.com

ニュースが注目している点は生徒の73%が所属している普通科が見直されるということです。この点は実は中間報告のほんの一部でその他いろいろな提言がされていますが、なるほど確かにその他の項目はいつかどこかで聞いたことがあるような話なので、記者のみなさんが注目した「学科の見直し」という点は一番注目すべきポイントなのかもしれません。

 

中間報告には書いていなかったことも、時事通信には

「グローバル人材を育成する学科」「基礎学力を養う学科」など、目的やニーズに基づいて学科をタイプ分けする案が出ているという。

 日経新聞には

例えば国際的な仕事をしたい生徒向けに「国際コース」、地域に根ざした人材を目指す「地域創生コース」を設置するといったことを想定。

 と書いてありました。

【学科】と【コース】とでは意味合いがかなり違いそうなのでまた情報が出るのを待ちたいところですが、画一的な「普通科」では多様なニーズに応えられておらず、生徒の学習意欲もそいでいるために普通科を見直す方向で検討しているそうです。

確かに!なんとなく普通科に入ってなんとなく高校生活を送っている生徒にとっては3年間は途方もなく長く感じるものです。もっと学校の授業が自分の興味に沿っているものだったら意欲的に学習に取り組めるかもしれませんね。

それから将来やりたいことが決まっている生徒も、大学に入るためには18歳以上になるまで待たないといけません。高校のうちから専門や興味のあることが学べれば目標に近づいているという気分になるでしょう。

また、将来のことに思いを馳せたり、自分の興味や関心について考えてみる機会が増えるきっかけにもなると思います。

 

細かいことはこれから決まっていくのだと思いますが、ちょっとここで考えたいのは(1)学科(またはコース)は変えられるのか、ということです。

もし私が高校受験の際に学科(またはコース)を決めなければならなかったら決めかねてしまうのではないか、と思うのです。また、ちゃんと選べたとしても興味が他に移ってしまう可能性もあると思うのです。ですから、変更は簡単にできるようにしてほしいです。

それから、(2)本当に高校生は専門のコースを学びたいと思うのかということです。つまり、その先には大学入試があり、就活があります。

中間報告の中には「中高・高大の接続」という項目があり、各教育の接続のあり方も検討すべきと書かれています。大学入試が今のままであれば既存の「普通科」を選びたくなり、安心して高校で専門を学ぶことはできません。また、その先の就職の条件から「大学卒」をなくして、「大学卒」が必須であると考える風潮もなくしたいところです。子どもたちや保護者に「興味に沿って学んでいい社会」を見せて初めて高校での多様な学び方は実現します。

 

政府は先日、国際的な大学入試資格を持つ学生の大学入学資格の「18歳以上」という要件を撤廃する方針を決めました。「いつ」学ぶことができるか、というのも多様な学びの大きなポイントだと思います。多様で主体的な学びを実現するには日本でも飛び級は認めるべきです。

 

中間報告には、ICTに関しては「社会と学校との乖離は危機的状況」、今日の国際的な競争の中では「研究開発や専門人材の育成確保の面で、最先端にある国々に比べ大きく立ち遅れてい」るとはっきり書かれています。これを埋め合わせるべく、国が大胆に改革を行っているかを我々は常にチェックしなければならないし、我々自身もこのような気概を持って日々子どもたちと接していかなければなりません。

  

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