中国の大学のオンライン授業について報告します2

 

こんにちは。

今日は中国の大学のオンライン授業がどのように行われているか、実際に私が行っている授業についてお伝えします。

 

テンセントのオンライン授業ソフトでは授業を行う際に必要となる最低限のツールが揃っています。まずは、出席確認。画面には「参加者」というところがあって、リアルタイムの参加者を一覧で常に閲覧可能です。この他に、教師の好きなタイミングで出席を取ることもできます。時間内(30秒か90秒を選べる)にボタンをクリックしてもらって出席を取ります。

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学生側の画面。時間内にボタンをクリックしなければならない。

注1:学生は自身の電話番号を紐付けてアカウントを取得しています。中国では個人情報が様々な公的な場面で紐付けられ、日本よりもなりすましはしにくいと思います。

 

教材はPPTや音声ファイル、動画、スクリーン共有で学生とシェアすることができます。私は自分の顔を映しながら、いつもPPTを使用してその上に線を引いたり、板書の代わりにスクリーン共有でWordを使っています。

基本的には教師が一方的に話すスタイルですが、学生に発言させることもできます。発言したい学生は「挙手」をします。そして教師が「許可」を出すと、学生のマイクがオンになり、発言することができます。このときの声はクラス内に流れます。同時に6人の学生が発言することができるようです。学生は授業中自由にコメントすることができ、同じタイムラインに教師も書き込むことができます。カメラは教師側しか作動ないので学生の顔を見ることはできません。

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学生側の画面。①手を挙げた学生の名前がここに表示される。②コメントのタイムライン。③ここをクリックすると参加者一覧が見られる

科目などによって「教室」を複数作成することも可能のようですが、私は2科目×2クラスを全て同じ「教室」でやっています。今の所、特に支障はありません。指導している学生が自分の授業時間ではないときに入って来てしまうというデメリットはあるかもしれませんが、特に気になりません。

注2:部外者に「教室」の場所を知られてしまえばだれでも入ってこられる環境ではあると思います。

 

このソフトを使って宿題も出すことも可能なようですが、まだ使ったことはありません。毎回課題の提出は課していますが、WechatまたはQQで提出させています。Wechat・QQというのはLINEと同じようなSNSで、課題は学生から個別に送られてきます。皆さんのご想像通りこれはチェックが相当大変なので、このソフトの宿題機能を使うかは今後検討しなければならないと考えています。

 

また、授業はアーカイブに残すこともできるし、その場限りにすることもできます。

 

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学生側の画面。目隠し部分は自分のアカウント情報で、常にこの文字が画面上を漂っている。違法アップロードを防ぐ。ちなみに上のイラストは教師が画面の切り替え作業を行っているときに出るイラスト「先生は頑張って準備してるのでちょっと待っててね!」



以上が大まかな内容です。

私が行っているのはリアルタイムでのオンライン授業です。一ヶ月ほどオンラインで授業をしてみて思ったことは「意外とやれるやん」ということです。ただ、学習者がどの程度理解しているかを直接顔を見てうかがい知ることができないので、現実の教室で行う場合よりもクラス内の習熟度の差は開くものと思われます。また、対面での授業よりも間延びしてしまい、結果的に内容が薄くなってしまっている実感があります。

また、カメラをオンにして授業をしている教師は少ないらしい(笑)のですが、教師の顔が見えないと「つまらないビデオを見ているみたい」な感覚になるそうです。ただでさえ誘惑の多い自宅学習ですから、そういう面でも対面型授業とは別の教師側のアプローチや環境の整え方も常に考えていかなければならないことだと思います。

テストをどうするのかというのも頭の痛い問題です。現在中国ではコロナウイルスの流行が下火になっているとはいえ6週間後の大学での授業再開は怪しくなっています。今後、中国でまた感染者が増えることがあれば今学期のすべての授業がオンライン授業になってしまう可能性もあります。そうなった場合、テストはどのように行うのか。これは、大学の決定に従うというところが大きいかと思いますが、再びパンデミックが起きたときのために色々とシミュレーションしておいても損はなさそうです。

 

注3:5月18日から授業を再開してもよい、と私の大学がある省から先日発表がありました。当初の予定より一ヶ月弱後ろ倒しになりました。